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朝日焼の宝瓶と一般的な急須の比較

写真:朝日焼、有田焼、常滑焼

朝日焼の宝瓶(ほうひん)と、一般的な急須の違いを比較します。
今回は、量産型で作られている有田焼の急須、手作りの常滑焼、朝日焼の宝瓶の比較です。

持ち手がついていない

写真:お茶の淹れるシーン

持ち手のついていない急須のことを宝瓶(ほうひん、又はほうびん)といいます。
宇治ではこの宝瓶が一般的です。
他の急須の産地でもまれに見られる形ですが、宇治で宝瓶が一般的な理由として、「お茶の淹れ方の文化の違い」が挙げられます。

宇治ほど上質なお茶にこだわってきた産地は他にありません。お茶が高価で、庶民が手に入れることのできない時代から、宇治茶は将軍家御用達のお茶として、より上質なお茶を生産することに特化して、工夫と努力を重ねてきました。

京都府のお茶の生産量は、全国のたった3%にしか過ぎません。
上質なお茶の代名詞「玉露」の全国生産量の半分以上を、京都府が占めていることでも、宇治茶がいかに上質な茶葉にこだわった生産をしているかがわかります。

そんな上質なお茶を味わう文化、つまり「喉の渇きを潤すお茶」ではなく、「愉しみ憩うお茶」の文化が宇治のお茶文化です。上質なお茶を味わうには、お湯は高温ではなく、温めのお湯で淹れることになり、器自体が高温になるのが少ないため、持ち手が不要になってきます。

持ち手がなくなると、収納に場所をとらなくてすみます。急須を普段からお使いの方はお分かりになると思いますが、持ち手のある急須はことのほか場所をとります。宇治では客間に、茶器のセットを揃えて、お客様を迎える文化がありますから、なおのこと場所のとる急須は敬遠され、宝瓶が一般的になっていったものと思われます。

もちろん朝日焼でも、持ち手の付いた急須も制作しておりますが、圧倒的に持ち手のない宝瓶の方が、多くお買い上げいただいております。

茶漉しの穴の部分

次に違いが分かりやすいのは「茶漉しの穴の部分」です。一般的に急須の茶漉し部分にはいくつかの種類があります。

茶漉し部分の種類

これらにはどれも一長一短があります。

1.金属の網など陶器以外の素材を貼り付けた場合

目詰まりなどを起こしにくく、淹れやすい反面、どうしても陶器と金属の境目のところに汚れがたまりやすく、念入りに掃除をしないと、お茶の味を損なったり、衛生的にも好ましくありません。

2.陶器でできた網を付けた場合
写真:有田焼と常滑焼の網

今回比較する有田、常滑もこの分類に入りますが、その特徴は異なります。
有田のものは、簡単で小さな網をくっつけてあるだけですので、お茶を淹れる時にスムーズに出てくるとは言い難い作りです。
それに比べて常滑のものは、常滑特有の「ササメ」と呼ばれる非常に細かな網を専用の機械で作って、それを貼り付けています。しかし、網があるのは胴体の上部の方だけで、最後の一滴まで注ぎ切るということに、力点が置かれていません。

また、網の目が細かすぎるため、朝日焼の考えるお茶の旨みを十分に含んだ「とろみ」を引き出すことができません。
さらに、両方ともに貼り付けているという性格から、器の胴体に対して内側に膨らんでいる状態であるため、器の中の掃除をしにくいという欠点もあります。

3.急須の胴体に直接、穴を開けた場合
写真:朝日焼の網

貼り付けるのではなく、胴体に直接、穴を開けるため、接合部というものがなく、内側へ膨らむこともないので、掃除がしやすく使い勝手が良いのが特徴です。
しかし、多くの場合、直接、胴体に開けられた穴は数が少なく、常滑の急須などに比べ、お茶を淹れる時にスムーズでなかったり、穴を大きくしすぎて、茶滓(ちゃかす)がたくさん碗の中に入る場合が多くあります。

朝日焼は長年蓄積した技術によって、150個以上の穴を、底の方までびっしりと開けていき、さらにその穴も、「とろみ」を出すのに最適な約1.5mmの大きさ。これはお茶を最後の一滴まで注ぎ切り、旨みを最大限に引き出す作りとなっています。

注ぎ口のつくり

写真:最後の1滴まで注げます

注ぎ口のつくりが悪いと、お茶を淹れるときに口からお茶が漏れ、「尻だれ」などと呼ばれる状態になり、非常に使い勝手が悪くなります。
注ぎ口のつくりは非常に繊細で、ちょっとしたことでも漏れやすくなります。
また、急須の中にお湯をギリギリまで入れると、つくりの良い注ぎ口でも漏れてしまいます。

そんな「作り手泣かせ」の部分ゆえに、注ぎ口の先にビニールのチューブつけて、水切りを良くしている場合もあります。ところが、この場合、使うごとにビニールが変色し、見た目が悪いだけでなく、汚れがビニールと器の間にたまり、お茶の味にも悪影響を及ぼします。

そのため、こだわりを持って急須や宝瓶を作る窯元はビニールを使いません。
つくりの良さで、水切りの問題を解決します。
注ぎ口のつくりは、その器だけを見ていても分かりにくいですが、見比べてみるとその差は歴然です。朝日焼の宝瓶は、丁寧な仕上げで注ぎ口の先が薄く、微妙なカーブを描いていますが、他の二つは、無造作に切ったままの状態に近く、先の厚みもあり、カーブもほとんどついていません。
このような違いは、注ぎやすさに大きく影響します。

お茶の捨てやすさ

写真:朝日焼の茶葉の捨てやすさ

写真:有田焼の茶葉の捨てにくさ

朝日焼の宝瓶は、底から口元にかけて、段々と広がっていく形状で、蓋の合わさっている口の部分が一番広くなっています。
それに対して、他の二つは丸い形で一番広い部分は胴の真ん中の部分、真ん中から蓋の合わせ目に向かって、段々と狭くなっているような形状です。
この形状の場合、飲み終わった後のお茶を捨てる時には、茶葉が中にひっついてしまい、綺麗にお茶を捨てるのに苦労します。
朝日焼の宝瓶は口に向かって広くなっていく形状のため、茶葉を捨てるのは、水を入れて簡単に捨てることができます。
この違いも、茶処宇治の窯元ならではです。

蓋と口の合わせ目

写真:朝日焼と有田焼の蓋と口の合わせ目比較

急須の蓋がカタカタと動くようでは、つくりの良い急須とはいえません。
お茶を淹れる時には、蓋を押さえるため、機能的に大きな違いではありませんが、蓋の合わせ具合の正確さを見れば、その急須が丁寧に作られたかどうかはすぐに分かります。
手を抜いている器は、おそらく他の部分でも手を抜いているでしょう。

写真では分かりづらいですが、量産品の有田の急須には、かなり蓋の合わせ具合に隙間があります。
また、急須づくりの盛んな常滑の急須にも、今回、選んだ中では、蓋の合わせ具合に若干の隙間がありました。

朝日焼の宝瓶は、蓋がピタッと合わさるため、初めて使っていただいた方の中には、
その事に感動される方もいらっしゃるくらいです。
この蓋の部分は、ネットの画像では分かりづらいですが、お店で手にとってご覧になるときは、まず最初にチェックしてみてください。

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