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朝日焼の特徴

朝日焼は、お茶の旨味をこよなく楽しんでいただくための機能美にあふれています。機能にはやさしさが詰まっています。朝日焼に息づくその想いを、ぜひ知ってください。

  • 持ち手のない「宝瓶」
  • 水切りのよい注ぎ口
  • 宝瓶の茶漉し穴
  • ロクロでの成形へのこだわり
  • 隙間なくピタッと閉まる蓋
  • 三日月形に切り取った蓋の合わせ目
  • 小さい碗
  • 碗の口づくり
  • 碗の中の色

持ち手のない「宝瓶」

写真:お茶の淹れるシーン

朝日焼の茶器は元来、持ち手のない宝瓶が主流です。
急須の有名な産地は他にもございますが、朝日焼において宝瓶が主流なのは、より上質なお茶をぬるめのお湯で淹れて味わう宇治茶の文化により添って茶器を制作してきたからです。

写真:河濱清器

熱いお湯を入れる急須は器全体が熱くなりやすいです。

そのため、熱くて持てない事を防ぐために持ち手がついているのですが、上質な茶葉の旨みを十分に引き出すためにぬるめのお湯(煎茶の場合は70度くらい。玉露なら40〜60度くらい。)で淹れることを前提にした宇治茶の文化では、持ち手はあまり必要としておりません。

急須を普段からお使いの方はよく分かるのですが、持ち手があるが故に急須は非常にかさばる器です。食器棚にしまうとしても、他のものよりも余計に場所をとる急須はやっかいな存在です。

宇治では昔から、客間に茶器のセットを置いておきお客様を迎える文化がありますから客間に場所をとる急須は敬遠され、持ち手のない宝瓶が一般的になったのだと思われます。ただし、持ち手のない分、持ちやすさにはこだわったデザインとなっております。口は広くとってあるのですが、女性でも持ちやすいサイズに留め器の外側のカーブは、ちょうど手に掛かりやすいような形状になっております。

この辺りの心配りがあるかないかも実際にお茶を淹れることの多い宇治の窯元ならではかと思います。

水切りのよい注ぎ口

写真:河濱清器の注ぎ口

水切りの良さは急須の命とも言われます。朝日焼では制作工程の中でも特に口づくりに細心の注意を払って制作しております。

急須の水切りは作り手の頭を悩ますものの一つです。それを簡単に解決するために、ビニールを装着した急須をよく見かけますが、見た目の悪さも気になりますし、何よりビニールと陶器との境目に汚れがたまりやすく衛生的に良くありません。


写真:注ぎ口の制作

朝日焼の宝瓶の注ぎ口は、一度形を整えた後に、刷毛拭きという工程でも念入りに注ぎ口の内側のカーブを整えていくことにより、水切りの良さを実現しております。

宝瓶の茶漉し穴

写真:茶漉し穴の拡大

宝瓶(持ち手のない急須)の胴体に直接、150個以上も手作りであけた穴は、大き過ぎれば茶カスが碗の中にたくさん入ってしまい、小さ過ぎれば、お茶のとろみと本来の旨さを損なってしまいます。その最適な大きさ約1.5mmの穴が、宝瓶の底の方までびっしりと150個以上あけてあることで最後の一滴まで注ぐことができ、お茶の味を最大限に引き出します。

胴体と穴の部分を別々に作ってくっつける方が制作としては簡単なのですが、その場合、くっつけた部分が洗いにくかったり、汚れがたまりやすかったりするので朝日焼では胴体に直接、穴をあけることにこだわっております。


写真:茶漉し穴の制作

また、穴が多くあいていても底の近くにまであいていないと、最後の一滴まで注ぐことが難しく底のギリギリまで穴があいているのも朝日焼のこだわりです。

このような事は、長年の磨かれた技術によって可能になるもので他の窯元が真似をしてできるものではありません。

ロクロでの成形へのこだわり

写真:ロクロ作業

朝日焼の宝瓶は、胴、口、蓋のつの部分をすべてロクロ成形の手づくりで制作いたします。「朝日焼はロクロの家だから」と当代豊斎が口癖のように言いますが、すべてをロクロで成形することによって、手に持ったときの収まり具合、胴と口との一体感、細かなロクロ目にたまる釉の景色が生まれます。

わずかなことですが、手間をかけ、積み重ねた技術で作ることによって全体の印象が大きく違ってきます。

隙間なくピタッと閉まる蓋

写真:蓋の拡大

急須の蓋の閉まり具合を見ていただくと、それが丁寧に作られた物かどうかが分かります。
焼物は制作した段階からどんどんと収縮していきます。制作時から乾燥で約8%。焼成時にさらに約8%。合計で15%以上縮みます。そのため、蓋と胴の大きさはちゃんと合わせておいても、少しの差がでてきます。
その差をなくすためには、胴と蓋を乾燥段階から常に同じペアで合わせた状態にし完全に乾いた段階で、あらかじめ少し大きめに作っておいた蓋をわずかに削って大きさを合わし、さらに焼成の時も蓋を閉じた状態で焼きます。

写真:蓋の制作

そのため、ほとんど同じ大きさに見える蓋でも、蓋と胴を交換してしまうときっちりと噛み合う事はありません。
この手間を惜しんでしまうと、ピタッと閉まる蓋にはなりませんので、急須や宝瓶の蓋の閉まり具合を見ると器の作りの良し悪しがすぐに分かります。

三日月形に切り取った蓋の合わせ目

写真:合わせ目

朝日焼の宝瓶は、三日月形の蓋の合わせ目がお茶を淹れる茶漉しの穴の上の部分にのみ付いています。
制作の最初の段階では器の淵をグルッと一周しているものを切り落として三日月形にします。この三日月形の部分で、お茶を淹れるときには茶葉が蓋についてしまうのを防ぎ、茶ガラを捨てるときには、注ぎ口を覆うように持っていただくと、茶ガラをスムーズに捨てることができます。

口を広めに取っていることと共に、日々使っていただく器ですので、茶ガラの捨てやすさにも気を配っております。

小さい碗

写真:小さい碗

朝日焼の茶器の碗は、一般的な碗に比べてかなり小さめです。これは、朝日焼の茶器がやはり宇治茶文化に根ざしているからです。
元来、お茶というのは少量をすするようにして愉しむもの。上質なお茶を少しずつ「舌を転がすように」味わってこそお茶本来の味を愉しめます。

また、良いお茶でもたくさんの量を淹れようとするとどうしても味が損なわれがちです。「喉の渇きを潤すお茶」でなく「愉しみ憩うお茶」のための器だからサイズが小さめにできております。

碗の口づくり

写真:碗の口づくり

朝日焼の茶器独特の碗の形を「朝顔形」といいますが、朝顔形の碗の口元は、外側と内側で微妙にカーブを変えてあります。

それは、日本酒を愉しむようにお茶を少しずつすすり飲みしやすいようにです。

碗の中の色

写真:碗の中の色

朝日焼の代表作である河濱清器(かひんせいき)は、京都では石モノと呼ぶ磁器の素地で制作しており、外側は青磁釉という鮮やかな水色が特長ですが、中は透明の釉で磁器の白さを強調しております。これは、お茶の水色(すいしょく)を愉しんでいただくためです。

お茶はまず水の色を愉しみ、香りを愉しみ、そして味を愉しみます。碗の中が黒や茶の濃い色合いであった場合、どうしてもお茶の水の色が分からず愉しみの一つを奪ってしましいます。
朝日焼では、外側と内側の釉薬を使い分けることによって、お茶の水の色まで愉しんでいただくことができます。

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